犬の心不全に注意しましょう。
こんにちは、獣医師の杉山です。
早いものでもう梅雨の時期ですね。
高温多湿のこれからの時期は、心不全から併発される咳や呼吸不全での受診が急増します。すでに当院で獣医師の聴診において心雑音があり注意を促されている患者様をはじめ、概ね8歳以上の高齢犬のオーナー様は十分な注意が必要です。
一口に心不全といっても多岐に渡りますが、ここで取り上げる病気はすべての犬が加齢とともに発生し得る可能性のある病気で『僧帽弁閉鎖不全症』といいます。
これは心臓の左心房と左心室とを隔て血液の逆流を防ぐ僧帽弁の機能が低下し、血液が心臓の中で逆流してしまう病気です。その逆流の音を私たちは聴取しています。すると肺の血管の圧力が上昇し、肺の中に血液中の水分が漏れ出て呼吸不全になります。
冒頭でも述べましたようにこの季節は空気中の水分が多いため、病状の進行が早いことが知られています。初期症状は、心雑音だけですが、やがて息づかいが荒く、痰がからんだような咳をするようになります。病気の進行とともに運動時や夜間、明け方にかけて咳は頻繁となります。やがてうまく呼吸ができなくなり、伏せることができず座ったままの姿勢をとります。
咳の度に、肺に溜まった液体が吐き出されるようですと、末期の症状で手遅れになることも少なくありません。残念ながら根治する治療はありませんが、新薬の開発により、良好な状態を長期に渡り維持することが可能となってきました。ですから初期症状を見落とさず、心当たりがありましたら、遠慮なくご相談ください。